特許戦略編

11.ベンチャー企業が上記10の危機に遭遇した場合、どのように対処すればよいですか?

(1)模造品には特許等で侵害排除する
  • 模造品は外形や簡単な部分だけをまねて重要な部分が異なることもあるので、技術を保護客体とする特許での追求は困難な場合もありますが、実用新案や意匠、不競法のデッドコピー禁止権を動員し、かつ侵害を主張できる特許があれば、それらを全て用いて、民事上の請求権(差止請求と損害賠償請求)と刑事上の責任を追及すべきです。
  • 粗悪品の横行には、広告で消費者の注意喚起を併用することも大事です。
(2)競争品には特許等で侵害排除する
  • 競争品は自社製品と基本コンセプトを同じにするものと、そうでないものがあります。前者については自社の基本特許と周辺特許および意匠権、デッドコピー禁止権を動員し、後者については代替技術の特許(もし、それがあり、かつ抵触を主張できるなら)や意匠権、デッドコピー禁止権等により、相手方の製造販売禁止を求める差止請求および損害の補填を命ずる損害賠償請求により、市場からの駆逐を図るべきです。
     他社に自社特許を侵害されたときの対処のポイントは、いかに速やかに侵害品を排除するか、あるいは十分な損害賠償を得るかにあります。
  • 対処方法は、後記(7)の1〜4と同じです。
(3)商標侵害には商標権等で侵害排除する
 商標登録していれば商標権で、差止請求と損害賠償請求により侵害排除を図ります。
 商標登録していなければ、不正競争防止法2条1項1号(周知表示の保護)、同2号(著名表示の保護)等により差止請求と損害賠償請求を請求します。但し、要件の立証が困難で利用しづらい面があります。
(4)ノウハウ侵害には不正競争防止法で対処する
 ノウハウの無断使用に対しては、不正競争防止法により差止請求、損害賠償請求をします。但し、営業秘密の三要件(有用性、秘密管理、非公知性)の立証が必要です。
(5)自社特許の妨害に対しては特許庁の手続で応戦する
 他人の特許を無効にする手続として、無効審判の請求(何時でも)が認められており、特許権者はこれへの対応手続として、答弁書の提出等が可能です。
(6)他社特許の出現に対しては無効審判を請求する
 上記(5)と逆の立場で手続をとります。
 なお、出願中に他社特許出願の拒絶理由の証拠を特許庁に提出する情報提供も利用できます。
(7)侵害を指摘されたときは、次の手順方法で対処します
  1. 最初に警告書がやってくる
    • 本当に侵害するのかどうか判断する→弁理士鑑定を求めます
  2. 対策の検討
    • 侵害する場合→設計変更する(侵害しないものにする)
             ライセンス共与を求める/クロスライセンスなど
      侵害しない場合→その旨回答する
  3. 交渉でまとめる
    • 弁理士を介在させる
  4. 交渉がまとまらない場合→公的な粉争解決手段に進む
    • 仲裁(日本知的財産仲裁センターなど)
    • 裁判(地方裁判所→高等裁判所)
      結果は判決による勝訴

      判決による敗訴

      和解または取下げのいずれかとなります。

      負ければどうなる?
    • その製品の製造・販売停止、あるいは最悪なら事業停止、損害賠償の支払いの必要があります。
    • 裁判で負けても、別の製品・事業で勝負する手もあります。